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この記事を書いた人
坂本 健太郎(さかもと けんたろう)/ドラマ・音楽ライター
テレビドラマと主題歌の相互作用を分析する専門家。特に、歌詞が物語の伏線や登場人物の心理描写としてどのように機能するかの考察を得意とする。ウェブメディア「Real Sound」「CINRA」などにドラマレビューや音楽考察記事を多数寄稿。個人ブログ「週末のドラマ考察」を運営し、月間10万PVを集める。
坂本から一言: 「ドラマの主題歌って、ただのBGMだと思っていませんか?僕も昔はそうでした。でも『花占い』を知ってからは、歌詞の一つひとつが、まるで柊と美月の心の声のように聞こえてくるんです。Vaundyさんが込めた“本当の想い”を知ると、ドラマのあのシーンが、もっと切なく、もっと愛おしく見えてきますよ。」
ドラマ『ボクの殺意が恋をした』、毎回ハラハラしますよね。そして、エンディングで流れるVaundyさんの「花占い」、あの切ないメロディと歌詞が、どうしてあんなに心に残るのでしょうか?
実は、Vaundyさんの楽曲「花占い」の歌詞には、単なるラブソング以上の、主人公・柊と美月の「すれ違う気持ち」そのものが描かれています。
この記事では、ネット上の憶測ではなく、Vaundy本人とドラマ制作陣の「公式コメント」を基に、「花占い」の歌詞に込められた本当の意味を解き明かしていきます。
この記事を読み終える頃には、ドラマ『ボクの殺意が恋をした』の感動が何倍にも深まり、「花占い」を聴くたびに、柊と美月の顔が思い浮かぶようになるはずです。
なぜ「花占い」はこんなにも切ない?ドラマの感動を増幅させる歌詞の秘密
「歌詞の解釈に正解なんてあるの?」と、僕のブログでもよく質問を受けます。もちろん、音楽の楽しみ方は自由です。しかし、作り手が込めた「意図」を知ることで、作品の楽しみ方が何倍にも広がるのは確かです。
Vaundyさんの楽曲「花占い」は、まさにその典型例と言えるでしょう。
まず、ドラマ『ボクの殺意が恋をした』の物語を思い出してみてください。主人公の男虎柊(おのとら しゅう)は、伝説の殺し屋に育てられた青年。しかし、いざターゲットを前にすると、最高に“間が悪く”て殺せない。それどころか、暗殺対象であるはずの鳴宮美月(なるみや みつき)に恋をしてしまい、何度も彼女のピンチを救ってしまいます。
この「殺意」と「恋」という、本来なら絶対に交わらないはずの二つの感情が同居してしまう特殊な設定こそが、「花占い」の歌詞が持つ切なさの源泉なのです。
Vaundy自身が語ったテーマは「実る前の恋」- 公式コメントが示す歌詞の真実
では、Vaundyさんは「花占い」にどのような意図を込めたのでしょうか。その答えは、アーティスト自身とドラマ制作陣の公式コメントに明確に示されています。これが、歌詞の謎を解く最大の鍵です。
Vaundyさんは、ドラマ公式サイトで次のように語っています。
楽曲のテーマとしては『実る前の恋』、何年も何千年も恋人になれないままでいる二人のお話です。劇中で聴くとまた違った印象に聞こえてくる不思議な曲になっていると思います。
出典: 主題歌決定!Vaundy 「花占い」 – ボクの殺意が恋をした 公式サイト
さらに、ドラマの中間利彦プロデューサーも、主題歌に込めた期待をこう述べています。
殺し屋と暗殺ターゲットが恋してしまう、そんな振り切ったラブコメディにVaundyさんの世界観を埋め込んで欲しいと主題歌のオファーをさせて頂きました。(中略)恋の切なさと希望を紡いだ歌詞に、鳥肌が立ち、ワクワクが止まりませんでした。
出典: 主題歌決定!Vaundy 「花占い」 – ボクの殺意が恋をした 公式サイト
これらのコメントから、Vaundyさんの楽曲「花占い」は、ドラマ『ボクの殺意が恋をした』の特異なテーマ、すなわち「殺意と恋が共存する、決して結ばれない二人のすれ違い」を表現するために、意図的に書き下ろされた楽曲であることがわかります。

歌詞を徹底分析:「1000年の恋」と「花占い」に隠された柊と美月の“すれ違い”
公式コメントで示された「実る前の恋」というテーマを念頭に置くと、象徴的な歌詞のフレーズが、より具体的な意味を持って響き始めます。
「僕たちの1000年の恋は 相槌で折れる花のようだ」
このフレーズは、楽曲「花占い」の世界観を最もよく表しています。
「1000年」という言葉は、まるで運命であったかのような、非常に壮大で強い結びつきを感じさせます。一方で、「相槌」という日常のほんの些細なやりとりで簡単に「折れてしまう花」は、この上ない儚さや危うさを示しています。
この「壮大な運命」と「些細なことで壊れる儚さ」という対比こそ、男虎柊と鳴宮美月の関係性そのものです。二人は運命的に惹かれ合っているにもかかわらず、その関係は「殺し屋」と「ターゲット」という前提の上に成り立っており、ほんの少しのきっかけで崩壊してしまう危険を常にはらんでいます。この危うさが、歌詞全体に流れる切なさの正体です。
[画像指示: ドラマのワンシーンを彷彿とさせるイメージ画像(著作権に配慮)を挿入し、横に対応する歌詞をキャプションとして添える]
キャプション例: 「僕たちの1000年の恋は 相槌で折れる花のようだ」
「きっと占う前から決まってる」
楽曲のタイトルにもなっている「花占い」は、「好き、嫌い、好き…」と相手の気持ちを確かめる行為です。これは、美月を「殺すべき敵(嫌い)」なのか、「守りたい愛する人(好き)」なのか、常に心の内で葛藤する柊の心理状態のメタファーと言えます。
しかし、歌詞は「占う前から決まってる」と続きます。柊の心の奥底では、本当は「美月を愛している」という答えは既に出ているのです。それにもかかわらず、殺し屋という立場が、その本心から目を背けさせ、占いに頼るような不確かな状態に彼を留まらせます。このフレーズは、そんな運命の皮肉と、自分の本心に素直になれない主人公の“すれ違い”を見事に描き出しています。
【FAQ】Vaundy「花占い」に関するその他の疑問
ここまで歌詞の深い意味を解説してきましたが、楽曲に関するその他の疑問についても簡潔にお答えします。
Q1. 「花占い」の読み方は?
A1. 「はなうらない」と読みます。
Q2. Vaundyってどんなアーティスト?
A2. Vaundy(バウンディ)は、作詞、作曲、アレンジ、デザイン、映像までセルフプロデュースするマルチアーティストです。現役の美術大学生でありながら、その多彩な才能でJ-POPシーンに新しい風を吹き込んでいます。
Q3. ドラマ『ボクの殺意が恋をした』はどこで観れる?
A3. ドラマ『ボクの殺意が恋をした』は、動画配信サービスHuluで全話視聴することが可能です(2025年11月時点の情報です)。
まとめ:歌詞を知れば、ドラマはもっと面白くなる
Vaundyさんの楽曲「花占い」が、単なる美しいラブソングではなく、ドラマ『ボクの殺意が恋をした』の核心である「殺意と恋のすれ違い」というテーマを描くために生まれた、物語にとって不可欠な楽曲であったことを解説しました。
- 公式コメントが示すテーマは「実る前の恋」
- 「1000年の恋」は、運命的でありながら儚い二人の関係性の象徴
- 「花占い」は、殺意と恋の間で揺れる主人公の心の葛藤
これであなたも、ただの視聴者から一歩進んだ考察者です。ぜひこの新しい視点で、もう一度ドラマを観たり、曲を聴いたりしてみてください。きっと、初回とは全く違う感動が待っていますよ。
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[参考文献リスト]
- 主催歌決定!Vaundy 「花占い」, ボクの殺意が恋をした 公式サイト, 読売テレビ, https://www.ytv.co.jp/bokukoi/music/
- Vaundy、新曲「花占い」がドラマ「ボクの殺意が恋をした」主題歌に決定, 音楽ナタリー, 2021年6月13日, https://natalie.mu/music/news/432325


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