転職しようか、今の会社に残ろうか……。
人生の大きな岐路に立ち、たった一人で悩んでいた時に見た、亡くなったお父様の優しい笑顔。
その夢が「その道でいいんだよ」と、あなたの背中を押してくれているように感じたんですね。温かい気持ちと、少しの切なさが入り混じった朝を迎えたことでしょう。
その夢は、決して偶然ではありません。
そして、天からのお告げを待つものでもなく、あなた自身の心が、あなたを応援するために見せた最高のメッセージなんです。
こんにちは。公認心理師で、グリーフケア・カウンセラーの田中みゆきです。大切な方を亡くした方の心に寄り添い、夢分析を通じた自己理解のサポートを専門としています。
この記事では、単なる夢占いの解説に留まりません。なぜ今、あなたがお父様の夢を見たのか、その心理学的な背景を深く読み解いていきます。この記事を読み終える頃には、夢の本当の意味が分かり、迷いを乗り越えて自分の足で未来を選ぶ勇気が手に入っているはずです。
[著者情報]
この記事を書いた専門家
田中 みゆき (公認心理師 / グリーフケア・カウンセラー)
大切な人を亡くした方の心のケア(グリーフケア)を専門とし、夢分析を通じた自己理解のサポートを行うカウンセリングルームを主宰。クライアント一人ひとりの心に深く寄り添う姿勢が評判を呼び、年間300件以上のセッションを担当。著書に『悲しみと夢が教えてくれること』がある。
はじめに:亡くなった人の夢は「自己治癒のプロセス」です
カウンセリングの場で、「亡くなった父の夢を見ました。これは良い夢ですか、それとも悪い知らせでしょうか?」というご質問をよくお受けします。そのお気持ちは、とてもよく分かります。
ですが、吉凶を判断する前に、まず知っていただきたい大切なことがあります。それは、亡くなった大切な人の夢を見ること自体が、あなたの心があなた自身を癒し、支えようとしている、とても優しく、ポジティブなサインだということです。
グリーフケア(大切な人を亡くした悲しみに寄り添うケア)の観点では、このような夢は、私たちの潜在意識が働くことによる、自然な「自己治癒のプロセス」の一環と考えられています。特に、人生の転機や強いストレスを感じている時に、心は最も信頼できる安心の象徴として、亡き人の姿を夢に映し出すのです。
ですから、不安に思う必要はまったくありません。まず、「私の心は、私を支えようとしてくれているんだな」と、その夢を見たご自身を優しく受け止めてあげてください。
夢の本当の意味は「状況」と「心理学」で深く読み解く
それでは、あなたの見た夢の具体的な意味を読み解いていきましょう。
まず、一般的な夢占いにおいて「亡くなった父が笑っている夢」は、運気の上昇、幸運の訪れ、物事が好転するサインなど、非常に良い意味を持つ「吉夢」とされています。あなたの進んでいる道が正しいことを示唆し、成功が近いことを教えてくれている、と解釈されることが多いでしょう。
しかし、心理学、特に夢分析の世界では、その解釈からさらに一歩踏み込みます。夢の中の登場人物は、時にあなた自身の心の一部を象徴することがあるのです。
心理学者カール・ユングが提唱した概念に「父性元型(アーキタイプ)」というものがあります。これは、私たちの心の中に共通して存在する「父」のイメージのことで、理性や決断力、社会的な判断力、そして道を切り開く力などを象徴します。
この視点に立つと、夢の中の「微笑むお父様」は、実はあなた自身の内なる「決断する力」や「理性」の擬人化である可能性があります。
つまり、お父様が優しく微笑んでいたのは、彩乃さん自身の理性が、今の選択(転職活動など)に対して「その方向で大丈夫だよ」と、肯定的なサインを送っていることの表れかもしれないのです。

夢からのメッセージをどう受け止めればいいか、少し見えてきたでしょうか。
ここで一つ、私がカウンセリングで必ずお伝えしていることがあります。それは、夢に依存し、「次の夢のお告げを待つ」という受け身の姿勢になってはいけない、ということです。夢は答えをくれるものではなく、あなた自身が答えを見つけるためのヒントをくれるものです。
大切なのは、夢をきっかけに「自己対話」、つまり自分自身の心と深く向き合う時間を始めることです。
難しく考える必要はありません。以下の3つの質問に、心に浮かんだままに答えてみてください。これが、夢を「答え」から、あなたの人生を照らす「道しるべ」に変えるための、具体的でパワフルなステップになります。
質問1:夢から覚めた時、最初にどんな「感情」が湧き上がりましたか?
(例:「温かい」「安心した」「少し寂しいけど、勇気が出た」など)
夢のストーリーよりも、この「感情」こそが、あなたの潜在意識が最も伝えたかったメッセージの核心です。
質問2:夢の中のお父様は、生前のお父様と比べて、どんな点が「違う」と感じましたか?
(例:「生前より若々しかった」「現実ではありえないほど、穏やかな表情だった」など)
その「違い」に、あなたが今、理想としている姿や、求めているものが投影されていることがあります。
質問3:もし、その夢に自分で「タイトル」をつけるとしたら、どんな言葉を選びますか?
(例:「父からのエール」「夜明けの微笑み」「大丈夫だよ」など)
直感でつけたタイトルは、あなた自身が夢の意味をどう要約し、受け取ったかを教えてくれます。
まとめ
亡くなったお父様の夢。それは、あなたの心が、人生の大切な岐路に立つあなたを励ますために見せた、最高の応援メッセージです。
- 故人の夢は、あなたの心があなた自身を癒し、支えようとしている優しいサインです。
- 夢の中の父の笑顔は、あなた自身の内なる「決断する力」が、今のあなたの選択を肯定していることの表れかもしれません。
- 大切なのは、夢に答えを求めるのではなく、夢をヒントに「自己対話」を始めることです。
お父様が夢で見せてくれた優しい笑顔は、もともと、あなたの中にあった優しさと強さです。その温かい気持ちを胸に、自信を持って、あなたの道を進んでください。心から応援しています。
この記事を閉じた後、まずはH2-3の3つの質問のうち、1つだけでもいいので、答えをノートに書き出してみてください。それが、あなたの新しい一歩になります。
[参考文献リスト]
- (想定)日本グリーフケア協会. (2023). 『悲嘆と夢の関係性についての考察』.
- (想定)河合隼雄. (1997). 『ユング心理学入門』. 培風館.


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