「職場の同僚だけでランチに行っているのを見てしまった…」
「最近、なんとなく避けられている気がする…もしかして私、嫌われてる?」
そのように感じて、一人でスマートフォンを手に取り、答えを探してしまう夜。その不安、そして誰にも相談できずに抱え込んでしまう苦しさは、痛いほどわかります。
「影でどう思われているか知りたい」と占いに答えを求めたくなるのは、ごく自然な心の動きです。
ですが、もしその不安の”正体”そのものを知ることができ、”自分自身で”安心感を生み出せる方法があるとしたら、知りたくありませんか?
こんにちは。臨床心理士・キャリアカウンセラーの佐藤ゆうです。年間200件以上のカウンセリングで、特に20代・30代の働く女性たちの心に寄り添ってきました。
この記事では、占いという親しみやすいテーマを入り口に、なぜあなたが周りの目を過剰に気にしてしまうのか、その心理学的なメカニズムを解き明かします。そして、この記事を読み終える頃には、他人の評価に振り回されず、本当の自信を取り戻すための具体的な方法が手に入っていることをお約束します。
[著者情報]
この記事を書いた専門家
佐藤 ゆう (臨床心理士 / キャリアカウンセラー)
20代〜30代の働く女性のメンタルヘルスを専門とし、特に職場での対人関係の悩みや自己肯定感に関するカウンセリングで高い評価を得る。著書に『「気にしすぎさん」のための心の整理術』があり、大手Webメディアでの連載も多数。クライアントの心に優しく寄り添いながらも、具体的な行動変容を促す実践的なアプローチが支持され、年間200件以上のカウンセリングを行っている。
なぜ、あなたは「他人のささいな言動」が気になってしまうのか?
カウンセリングの場で最も多くお受けするご相談の一つが、「他人の評価が気になって、自分らしく振る舞えない」というものです。これは決して、あなたの性格が特別に弱いからではありません。人間の心に共通する、ある”クセ”が原因なのです。
その根本にあるのが、「自己肯定感」の低下によって引き起こされる「認知の歪み」です。
少し難しい言葉が出てきましたが、大丈夫です。一つずつ解説しますね。
人間には誰しも「認められたい」という承認欲求があります。この承認欲求そのものは、社会生活を営む上で自然な感情です。しかし、仕事のプレッシャーやプライベートでのストレスなど、様々な要因で自己肯定感(ありのままの自分を肯定する感覚)が低下していると、その欲求が「認められないと、私には価値がない」という強い不安に変わってしまいます。
自己肯定感が低い状態は、いわば「心がネガティブなサングラスをかけている」ようなもの。同じ景色を見ても、すべてが暗く、歪んで見えてしまいます。
例えば、あなたが体験した「同僚だけのランチ」という出来事。
これは客観的な「事実」です。
しかし、ネガティブなサングラスをかけていると、「私が嫌われているからだ」「あの時の私の発言が原因だ」という、事実ではないネガティブな「解釈」を自動的に生み出してしまうのです。
この、事実を自動的にネガティブに解釈してしまう心のクセこそが、「認知の歪み」の正体です。このクセがある限り、どんなに占いで良い結果が出ても、またすぐに別の不安を探し始めてしまうのです。
占いがくれる「一時的な安心」の正体と、賢い付き合い方
では、なぜ私たちは不安な時に占いに惹かれるのでしょうか。それを否定する必要は全くありません。占いは、心を軽くするための有効なツールになり得ます。大切なのは、その仕組みを知り、賢く付き合うことです。
なぜ占いが「当たる!」と感じるのか。その背景には「バーナム効果」という心理学の現象が大きく関わっています。これは、誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な記述を、まるで自分のことだけを的確に言い当てられたかのように感じてしまう心理作用のことです。

このバーナム効果によって、私たちは一時的に「理解してもらえた」という強い安心感を得ることができます。
さらに、もう一つ知っておいてほしいのが「スポットライト効果」です。これは、自分が思っているほど、他人は自分のことを気にしていない、という心理学の法則です。
コーネル大学のある研究によれば、少し恥ずかしいTシャツを着て他の学生の前に出た際、本人は「クラスの約半数が気づいただろう」と予測しましたが、実際に気づいていたのはわずか23%でした。
あなたが「みんなが私のことを見ている」「あの行動は、私へのメッセージに違いない」と感じる、その感覚自体が、このスポットライト効果による思い込みかもしれません。
占いは、不安な心に寄り添ってくれる「心の応急手当」。そして、あなたの周りの人々は、あなたが思うほどあなたをジャッジしてはいないのです。
もう悩まない!臨床心理士が教える「本当の自信」を育てる3つの習慣
占いで一時的な安心を得ることも大切ですが、どうせなら、自分の中からいつでも安心感を取り出せるようになりたいと思いませんか?
かつての私はカウンセリングで「ポジティブに考えましょう」とお伝えしていました。しかし、多くのクライアントと向き合う中で、無理にポジティブになる必要はない、と考えるようになりました。大切なのは、ネガティブな感情を否定せず、「認知の歪み」という心のクセを少しずつ修正していくことです。
ここでは、私が実際にカウンセリングでお勧めしている、具体的で誰でも今日から始められる「心の筋トレ」を3つご紹介します。
習慣1: 「事実」と「感情」を切り分けるメモ術
私たちは、出来事(事実)と、それに対する自分の解釈(感情)を混同しがちです。これを意識的に切り分けるだけで、冷静さを取り戻せます。
【やり方】
不安を感じたら、ノートに2つの欄を作って書き出してみましょう。
- 事実: 同僚たちが、自分抜きでランチに行った。
- 感情/解釈: 私は嫌われている。孤独だ。
書き出すことで、「嫌われている」というのは、まだ確定していない自分の”解釈”に過ぎないと客観視できます。
習慣2: 「他の可能性は?」を探す思考の練習
一つのネガティブな解釈に固執してしまうのが「認知の歪み」のクセ。意識的に他の可能性を探す練習をしてみましょう。
【やり方】
上記の「事実」に対して、「もし、他の理由があるとしたら?」と自問します。
- 他の可能性:
- ランチの場所が、たまたま喫煙者だけで決まったのかも。
- 急ぎの仕事の打ち合わせを兼ねていたのかも。
- 私が忙しそうに見えて、気を遣ってくれたのかも。
100%ポジティブな理由でなくても構いません。「嫌われている」以外の可能性が一つでも見つかれば、心の負担は軽くなります。
習慣3: 「できたこと日記」で成功体験を貯金する
自己肯定感は、他人からの評価ではなく、自分との約束を守ることで育ちます。どんなに小さなことでも構いません。「できたこと」を記録して、自信を貯金していきましょう。
【やり方】
一日の終わりに、今日できたことを3つだけ書き出します。
- 朝、いつもより5分早く起きられた。
- 苦手な〇〇さんに、笑顔で挨拶できた。
- 頼まれていた資料を、期限内に提出できた。
「こんなこと、できて当たり前」と思わないでください。当たり前のことをきちんとできた自分を、毎日ちゃんと褒めてあげることが大切です。

よくあるご質問
Q. 占いを完全にやめるべきですか?
A. 無理にやめる必要は全くありません。占いは、自分の気持ちを整理したり、会話のきっかけになったりする楽しい文化です。この記事でお伝えしたかったのは、占いの結果に一喜一憂して、あなたの行動や感情が支配されてしまうのはもったいない、ということです。占いは「心のサプリメント」程度に考え、上手に付き合っていくのが良いでしょう。
Q. 職場の人間関係、一度リセットした方がいいですか?
A. 結論を急ぐのは待ちましょう。今の不安は、「認知の歪み」という心のサングラスが見せている幻かもしれません。まずはこの記事で紹介した3つの習慣を1〜2週間試してみてください。自分の捉え方が変わるだけで、相手の態度も違って見えてくることがよくあります。それでも状況が変わらず、心身に不調をきたすようであれば、その時に初めて環境を変えることを検討しても遅くはありません。


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