正社員になれるかもしれない期待と、なれなかったらどうしようという不安。そんな揺れる心で眠りについた夜、エレベーターが目的の階にたどり着けず、ただ上がり下がりを繰り返す…。
そのもどかしく、不安な夢は、今のあなたの心そのものを映し出しているのかもしれません。
キャリアコンサルタントの伊藤です。まずお伝えしたいのは、その夢は運命の宣告ではない、ということです。むしろ、あなたの未来を、あなた自身の手に取り戻すための招待状なのです。
この記事は、単なる夢占いの解説ではありません。キャリアの専門家として、その不安を具体的な自信に変えるための「行動計画」を、あなたと⼀緒に作っていきます。
この記事を書いた人
| 伊藤 さとみ (Satomi Ito)
キャリアコンサルタント / 心理カウンセラー 20〜30代のキャリア転換期にある方々を中心に、年間300人以上のキャリア面談を実施。キャリア不安のカウンセリングを得意とし、著書に『不安なままでも、未来は選べる』がある。相談者の心が送るヒントを、未来を切り開くための具体的な行動計画へと繋げるパートナー。 |
なぜ今、エレベーターが「上がったり下がったり」する夢を見るのか?
キャリアの大きな岐路に立つとき、私たちの心は大きく揺れ動きます。今回のエレベーターの夢は、まさにその精神的な不安定さが象徴的に現れたものと言えるでしょう。
正社員になりたいという強い希望(上昇)と、もしなれなかったらどうしようという恐怖(下降)。その激しい心の葛藤が、そのまま夢に現れているだけなのです。
決して、あなたの能力が足りないとか、未来が閉ざされているといったメッセージではありません。むしろ、それだけ真剣にご自身のキャリアと向き合っている、とても誠実な証拠なのです。
夢の「診断」はもう終わり。未来を掴むための「処方箋」としての3ステップ準備術
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 不安な気持ちを無理に消そうとする必要はありません。そのエネルギーを、未来を変えるための具体的な行動に向けましょう。
多くのご相談者は、不安を「なくすべきもの」と考えがちです。しかし、私の経験上、不安は「具体的な行動計画の欠如」から生まれます。不安を感じたら、それは「準備を始めるサイン」なのです。
夢が教えてくれた「あなたの状況は不安定ですよ」というメッセージ。ここからは、その漠然としたキャリアの不安を、具体的な行動計画に落とし込むための「処方箋」をご紹介します。

Step 1: 「期待」と「不安」を全て書き出し、感情を客観視する
まず、ノートとペンを用意してください。そして、「正社員登用」に関して感じている「期待」と「不安」を、思いつくままに全て書き出してみましょう。
- 期待の例:
- お給料が安定して、生活に余裕ができる。
- 任される仕事の幅が広がり、スキルアップできる。
- 社会的信用が上がり、将来の計画が立てやすくなる。
- 不安の例:
- 評価面談で、うまく自分の実績をアピールできないかもしれない。
- もし不採用だったら、今の職場に居づらくなるのではないか。
- そもそも、自分は正社員の器ではないのかもしれない。
頭の中だけで考えず、書き出すことが重要です。これにより、自分の心を客観的に眺めることができ、漠然としたモヤモヤの正体が明確になります。
Step 2: 「変えられること」と「変えられないこと」を仕分ける
次に、書き出したリストを、「自分がコントロールできること」と「自分ではコントロールできないこと」の2つに仕分けます。
- コントロールできること(=変えられること):
- 評価面談でのアピール内容
- これまでの実績の整理と資料化
- 上司や同僚への事前相談
- コントロールできないこと(=変えられないこと):
- 会社の最終的な決定
- 上司の評価基準
- 他の候補者の存在
私たちのエネルギーは有限です。そして、不安の多くは「コントロールできないこと」を考えすぎることによって生まれます。この仕分け作業は、あなたの貴重なエネルギーを、本当に集中すべき一点に注ぐための、最も重要なステップです。
Step 3: 「変えられること」を評価面談までのタスクリストにする
最後に、ステップ2で仕分けた「コントロールできること」を、評価面談当日までの具体的なタスクリストに落とし込みましょう。これが、あなたの行動計画になります。
- タスクリストの例:
- [ ] 今週末までに、この1年間の実績を数値でまとめる。
- [ ] 来週月曜日に、信頼できる先輩に面談の練習相手になってもらう。
- [ ] 面談で伝えたい「自分の強み」と「今後の貢献意欲」を3分で話せるようにまとめておく。
- [ ] 評価面談で想定される質問と、その回答を10個用意する。
このリストが具体的であればあるほど、あなたの不安は「やるべきこと」に変わり、自信の土台が築かれていきます。
それでも心が揺れる夜のために。心を安定させる2つの思考法
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「私が正社員になれなかったらどうしよう」ではなく、「私が正社員になるために、今できることは何だろう」と、問いの形を変えてみてください。
カウンセリングで最も頻繁にお伝えすることの一つです。私たちの脳は、問いかけられた質問に自動的に答えを探す性質があります。ネガティブな問いはネガティブな答えを、ポジティブな問いはポジティブな行動を引き出すのです。
行動計画を立てても、ふとした瞬間に不安が襲ってくることもあるでしょう。それは、あなたが真剣である証拠です。そんな夜のために、心を安定させるプロの思考法を2つご紹介します。
- ジャーナリング(思考の書き出し):
ステップ1で行ったように、不安な気持ちをありのままノートに書き出す習慣です。「今日は〇〇と言われて不安になった」など、感情を吐き出すだけで、心は驚くほど軽くなります。 - 最善と最悪のシナリオプランニング:
「もし正社員になれたら(最善)」と「もしなれなかったら(最悪)」の両方のシナリオを具体的に想像し、その後のプランを簡単に立てておきます。これにより、未知の恐怖が「対応可能な未来の選択肢」に変わり、心のコントロールを取り戻すことができます。
まとめ:未来のエレベーターの行き先は、あなた自身が決める
この記事では、エレベーターが上下する夢がもたらす不安を、希望に変えるための具体的なステップをお伝えしました。
- 夢は、キャリアの転機における自然な心の揺れを映し出しています。
- 漠然とした不安は、具体的な行動計画に落とし込むことで、自信に変えることができます。
- 未来は運命ではありません。あなたが「コントロールできること」に集中することが、希望を生み出します。
エレベーターの行き先ボタンは、運命ではなく、あなたの手の中にあります。これだけの準備をしようと決意したあなたなら、きっと望む階のボタンを押せるはずです。
あなたの挑戦を、心から応援しています。


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