【臨床心理士が解説】人を殺す夢を何度も見るのは異常?自分を責めないで。それは心が発するSOSです

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【臨床心理士が解説】人を殺す夢を何度も見るのは異常?自分を責めないで。それは心が発するSOSです 占い
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[著者情報]

この記事の執筆者

山田 恵(Yamada Megumi)
臨床心理士 / 公認心理師

企業の従業員支援プログラム(EAP)担当として、これまで50社以上、年間200件以上のカウンセリングを行ってきました。特に職場のメンタルヘルスやストレスケアを専門としています。衝撃的な夢は、あなたの心が懸命に発しているメッセージです。一人で抱え込まず、その意味を一緒に理解していきましょう。

  • 専門領域: 職場のメンタルヘルス、トラウマケア、認知行動療法
  • 著書: 『「もう、会社に行きたくない」と思ったら読む本』

 

昨夜も、あの衝撃的な夢で目が覚めてしまったのですね。心臓が激しく鳴り、後味の悪さと「自分はなんて人間なんだろう」という罪悪感に苛まれているかもしれません。

まず、一番大切なことをお伝えします。あなたは、決して異常ではありません。その夢は、あなたの心が懸命にあなた自身を守ろうとして上げている、極めて正常な「SOSサイン」なのです。

この記事は、単なる夢占いの意味を羅列するものではありません。臨床心理学の知見に基づき、あなたの心の叫びを正しく解読し、自分を責める毎日から抜け出すための「処方箋」です。

この記事を読み終える頃には、なぜあの夢を見るのか、その本当の意味、そして明日からあなた自身を守るために何をすべきかが明確に分かっているはずです。

まず、心に留めてください。その夢は「異常」ではなく「正常な心の防衛反応」です

カウンセリングの場で、「こんな夢を見る私は、どこかおかしいのでしょうか?」というご質問は、私が最もよく受けるものの一つです。特に、責任感が強く、真面目な方ほど、夢の中の過激な内容と現実の自分とのギャップに深く苦しみ、自分を責めてしまいます。

ですが、はっきりとお伝えします。夢の中で誰かを傷つけてしまったからといって、あなたが現実世界で攻撃的な人間であるということには、全く結びつきません。むしろ逆なのです。

怖い夢や衝撃的な夢を見るということは、あなたがそれだけ現実の世界で、多くの理不尽さやストレスに耐え、自分の感情を懸命にコントロールしている証拠に他なりません。あなたの理性や優しさが正常に働いているからこそ、行き場を失った心の叫びが、夢という形で安全に表現されているのです。

なぜ「上司を殺す夢」を見るのか?心のメカニズムを解説します

それでは、なぜあなたの心は「上司を殺す」という衝撃的なイメージを映し出すのでしょうか。ここには、はっきりとした心理的なメカニズムが存在します。

多くの場合、その根本的な原因は、パワーハラスメントのような職場での強いストレスにあります。上司からの理不尽な叱責や過度な干渉は、あなたの心の中に「怒り」「悔しさ」「無力感」といった強い感情を生み出します。しかし、職場の人間関係の中では、これらのネガティブな感情を直接表現することは難しく、無意識のうちに心の中に抑圧された感情として溜め込んでしまいます。

この抑圧された感情は、決して消えてなくなるわけではありません。そして、理性のコントロールが緩む睡眠中に、心の奥底から浮かび上がってきます。その際、心は溜め込んだ感情のエネルギーを解放しようとしますが、あまりに強すぎる感情は、そのままの形では処理できません。そこで、心は一種の翻訳作業を行います。つまり、あなたの「この理不尽な状況を終わらせたい」「これ以上、自分の尊厳を傷つけられたくない」という切実な願いを、夢の中での「象徴的な死」という過激なイメージに変換して表現するのです。

したがって、夢の中の殺意は、現実の攻撃性とは全くの別物です。夢の中の殺意は、「現状を終わらせたい」という、あなたの魂からの叫びが翻訳された姿なのです。

夢からのSOSを受け取ったあなたが、自分を守るためにできる3つのステップ

この夢は、危険を知らせる警告夢の一種であり、あなたの心が「もう限界だ」と知らせる重要なメッセージです。このSOSサインを受け取った今、大切なのは、自分を責めることではなく、自分を守るための具体的な行動を起こすことです。ここでは、専門家として推奨する3つのストレスコーピング(ストレス対処法)をご紹介します。

ステップ1: 感情と事実を「記録」する

まず、夢の内容だけでなく、夢を見る原因となっているであろう現実の出来事を客観的に記録することから始めましょう。「いつ、どこで、誰に、何を言われ、どう感じたか」を具体的に書き出すことで、自分の感情を客観視でき、状況整理に繋がります。この記録は、万が一、専門機関に相談する際に、自分を守るための重要な証拠にもなり得ます。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 記録する際は、「事実」と「自分の感情」を分けて書くことを意識してください。

なぜなら、「〇〇と言われて悔しかった」と書くだけでなく、「事実:〇月〇日、A部長に『こんなこともできないのか』と皆の前で言われた」「感情:悔しさと同時に、惨めな気持ちになった」と区別することで、後から見返した時に状況をより客観的に把握しやすくなるからです。この一手間が、専門家への相談時にも非常に役立ちます。

ステップ2: 外部の「安全な窓口」に相談する

次に、そして最も重要なのが、一人で抱え込まないことです。あなたの状況を安全な場所で話し、客観的なアドバイスをもらうことが、解決への大きな一歩となります。相談先にはいくつかの選択肢があります。

  • 心理カウンセリング(臨床心理士・公認心理師): あなたの心の負担を軽減し、ストレスへの対処法を一緒に考える専門家です。守秘義務があるため、安心して話すことができます。
  • 公的な労働相談窓口: 厚生労働省などが設置している窓口で、職場のハラスメント問題について法的な観点から無料で相談できます。
  • 社内の相談窓口: 会社にコンプライアンス部門やハラスメント相談窓口があれば、そこも選択肢の一つです。

これらの窓口は、それぞれに特徴があります。ご自身の状況や求めるものに合わせて、最適な場所を選ぶことが大切です。

職場の悩みに関する相談窓口の比較

相談窓口の種類 主な相談内容 匿名性 費用
社内相談窓口 社内規定に基づくハラスメント対応 会社による 無料
公的な労働相談窓口 法律に基づく解決策、あっせん 高い 無料
心理カウンセリング 心のケア、ストレス対処法の習得 極めて高い 有料(保険適用外が多い)

ステップ3: 「物理的な距離」を考える選択肢を持つ

もし現在の環境があなたの心身を著しく害している場合、異動や休職、そして転職といった、そのストレス源から物理的に距離を置くことも、自分を守るための正当で、かつ非常に有効な権利です。

「逃げるようで悔しい」と感じるかもしれません。しかし、あなたの健康以上に大切な仕事はありません。環境を変えることは、決して敗北ではなく、自分自身を大切にするための戦略的な選択なのです。

よくあるご質問(FAQ)

Q1: 夢の内容が現実にならないか心配です。

A1: ご安心ください。前述の通り、この夢はあなたの抑圧された感情が象徴的に表現されたものであり、現実の行動を予知するものでは全くありません。夢と現実ははっきりと切り離して考えて大丈夫です。

Q2: このような夢を見ないようにする方法はありますか?

A2: 夢の内容自体を直接コントロールすることは困難です。根本的な解決策は、夢の原因となっている現実のストレスを軽減することです。ストレスが和らげば、心の負担が軽くなり、見る夢の内容も自然と穏やかなものに変わっていくことが期待できます。

Q3: 会社に相談して、不利益な扱いを受けないか不安です。

A3: そのご不安はもっともです。だからこそ、まずは社外の公的な相談窓口や心理カウンセラーといった、あなたのプライバシーが完全に守られる場所で相談することをお勧めします。そこで専門家と一緒に、最も安全で最適な方法を考えていきましょう。

まとめ:あなたの心は、あなたの最強の味方です

この記事を通してお伝えしたかったのは、「人を殺す夢」は異常な精神状態の表れではなく、あなたの心が限界を知らせ、あなた自身を守るために送ってくれた味方からのメッセージだということです。

自分を責める必要は、もうありません。
あなたには、自分自身の心とキャリアを守る権利と力があります。

そのための最初の一歩は、専門家に話を聞いてもらうことです。一人で抱え込まず、どうか以下の窓口を頼ってください。あなたの心の安全が、何よりも大切です。

▶︎ 厚生労働省:総合労働相談コーナーのご案内
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

▶︎ 全国の臨床心理士・公認心理師を探すには(日本臨床心理士会)
https://www.jacpp.or.jp/members/search/


[参考文献リスト]

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