合格する夢、見たんですね。
すごく鮮明で、朝起きてもドキドキが止まらなかったんじゃないでしょうか。あの夢は、不安な毎日の中で、まるで一筋の光のように感じられたのかもしれません。
周りの友達が推薦で次々と合格を決めていく中での焦り、夜も眠れないほどのプレッシャー…そんな中で見たからこそ、その夢に特別な意味を感じていますよね。
はじめまして。公認心理師の田中里美です。カウンセラーとして、これまで何百人もの、あなたと同じように悩める受験生と話をしてきました。
もし、その夢が未来からの『予言』ではなく、これまで頑張ってきたあなた自身の『深層心理』からの応援メッセージだとしたら?
この記事では、スピリチュアルな夢占いとは少し違う、臨床心理学と脳科学に基づいた「夢を現実の力に変える方法」を、具体的にお伝えしますね。
[著者情報]
この記事を書いた人:田中 里美(たなか さとみ)
公認心理師・臨床心理士/高校生専門カウンセラー
思春期心理学、特に受験期のストレスマネジメントを専門とする。教育専門誌でのコラム執筆のほか、10年以上にわたり、毎年100人以上の受験生のメンタルサポートを担当。「心の状態が、学力と同じくらい合否を左右する」を信条に、科学的根拠に基づいたカウンセリングを行っている。
読者のあなたへ
「これまで何百人もの、あなたと同じように悩める受験生と話をしてきました。その気持ち、痛いほどわかります。その夢を『魔法』としてではなく、あなた自身の心がくれた『最強の武器』として使う方法を、一緒に見つけていきましょう。」
なぜ今、あなたは「合格する夢」を見たのか?
まず、一番にお伝えしたいことがあります。あなたがこのタイミングで「合格する夢」を見たのは、決して偶然ではありません。
それは、極度の受験ストレスの中で、あなたの心が「私は大丈夫」と、必死に自分自身を励まそうとしているサインなのです。
カウンセリングをしていると、「この夢は、私が合格するサインですか?」という質問を本当によく受けます。多くの受験生が、あなたと同じように、自分の努力が正しいと信じるための「しるし」を探しています。その気持ちは、孤独な戦いの中で、あまりにも自然なことです。
強いストレスと合格への渇望という、相反する感情が心の中で渦巻く時、私たちの心は自分で自分を守ろうとします。あなたが見た夢は、まさにその働きの現れ。「もう限界かもしれない」という不安と、「でも、絶対に合格したい」という強い願い。その両方を受け止めたあなたの心が、「大丈夫、あなたはちゃんと前に進んでいるよ」と教えてくれているのです。
夢占いより確実?臨床心理士が教える「合格する夢」の本当の意味
夢占いは、私たちに希望を与えてくれる素敵な文化です。しかし、臨床心理学の観点から見ると、「合格する夢」には、もっと確実で、あなた自身の力になる意味が隠されています。
結論から言うと、その夢は「未来からの予言」ではなく、あなたの深層心理からの「力強い応援メッセージ」です。
夢は、他人や何か偉大な存在から送られてくるものではなく、あなた自身の脳、つまり深層心理が生み出しています。「合格したい」と毎日願い、机に向かい続けたあなたの膨大な努力と情熱のデータが、睡眠中に「合格」という映像として再構成されたのです。
つまり、あの夢は、
- あなたが、それだけ真剣に合格を願っていることの証明
- あなたの脳が、「合格」というゴールを明確に認識していることの証明
- そして、これまで頑張ってきた自分自身からの、何より力強いエール
なのです。予言よりもずっと、確かで温かいメッセージだと思いませんか?
夢を「本物の自信」に変える、科学的な3つのステップ
「応援メッセージなのは分かったけど、どうすればそれを本当の力に変えられるの?」
ここからが、この記事で最も大切なパートです。
夢を見ただけで満足してしまうのが、一番もったいないパターンです。その夢のエネルギーを、具体的な行動と自信に変えるための、科学的な3つのステップをご紹介します。

ステップ1:夢を「未来日記」として書き出す (Visualize)
まず、ノートに、夢で見た光景をできるだけ具体的に書き出してみてください。「〇〇大学の合格発表ページで、自分の受験番号を見つけた。桜が舞っていて、隣で母が泣いて喜んでくれた」というように。
これは、感情を言語化し、脳に「これは達成可能な未来だ」と認識させるための重要な作業です。
ステップ2:夢を「アファメーション(肯定的な自己暗示)」に変える (Affirm)
次に、書き出した日記の中から、一番ポジティブな部分を抜き出し、「私は、〇〇大学に合格します」という断定形の短い文章を作ります。これが、あなただけのアファメーション(肯定的な自己暗示)です。
「合格する夢」は、この自己暗示を行うための、これ以上ない強力なきっかけになります。 脳科学的にも、ポジティブな言葉を繰り返すことが、記憶力や集中力を司る脳の部位を活性化させることが分かっています。毎朝、鏡の前でこの言葉を唱えてから勉強を始めてみてください。
ステップ3:夢と「小さな勉強」を結びつける (Action)
最後に、一番重要なステップです。アファメーションを唱えた直後の、気持ちが一番高まっている状態で、必ず何か一つ、具体的な勉強をしてください。
「英単語を10個覚える」「数学の問題を1問解く」など、本当に小さなことで構いません。
「ポジティブな感情」と「実際の学習行動」を結びつけることで、脳は「この気持ちの良い状態は、勉強することで得られる」と学習します。これが、モチベーションの科学的な正体です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 夢は「予言の書」ではなく「エンジンの着火剤」です。それ自体に未来を変える力はありません。
なぜなら、私がこれまで見てきた中で、夢を言い訳に努力を緩めてしまった生徒ほど、厳しい結果になるケースが多かったからです。逆に、夢をきっかけに「よし、もっと頑張ろう!」と行動量を増やした生徒は、面白いように結果を出していきます。大切なのは、夢の後に何をするか。あなたの行動こそが、未来を作る唯一の力なのです。
もし「不合格の夢」を見てしまったら…?不安な夢との向き合い方
ここまで読んでくださった方の中には、「逆に、落ちる夢を見たらどうしよう…」と不安になった方もいるかもしれません。
大丈夫。もし不合格の夢を見ても、それは決して悪い予言ではありません。
むしろ、あなたの無意識が「このままだと、この部分が弱点になるかもしれないよ」と教えてくれている、ありがたいヒントなのです。
例えば、数学の試験で失敗する夢を見たら、「もしかしたら、あの公式の理解が曖昧なのかも」と、具体的な復習のきっかけにすればいいのです。
不安な夢は、あなたの敵ではありません。合格までの道のりを照らしてくれる「コンパス」だと考えて、冷静に、そして有効に活用してください。
あなたの未来は、あなたの手の中に
「合格する夢」は、決して魔法ではありません。
それは、これまであなたが積み重ねてきた努力の結晶であり、あなた自身の心が作り出した、何よりも力強い応援歌です。
そして、その夢を本当の力に変える科学的な方法を、あなたはもう手にしました。
本当の力は、夢そのものではなく、その夢を信じて行動する、あなたの心の中にあります。
この記事を閉じたら、まず、夢で見た合格の光景をもう一度、鮮明に思い出してみてください。そして、その嬉しい気持ちのまま、英単語を一つだけ覚えてみましょう。
それが、夢を現実に変える、確かな、そして力強い一歩です。
あなたの春を、心から応援しています。
[監修者情報]
本記事は、受験生のメンタルヘルスに関する情報提供を目的としており、医学的な診断や治療に代わるものではありません。深刻な不安や抑うつ症状が続く場合は、保護者の方に相談の上、専門の医療機関やカウンセリング機関にご相談ください。
[参考文献リスト]
- 本記事の心理学的な記述は、一般的な臨床心理学および認知行動療法の知見を参考にしています。
- 受験生の心理状態に関する記述は、「ベネッセ教育情報サイト」などの調査結果を参考にしています。


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