[監修者情報]
この記事は、生殖心理カウンセリングの専門家である佐藤 由依氏の監修に基づき作成されています。
監修者: 佐藤 由依（さとう ゆい）
臨床心理士／不妊カウンセラー〇〇大学大学院で臨床心理学修士号取得後、総合病院の産婦人科にて8年間、不妊や周産期の心のケアに従事。現在は独立し、オンラインで妊活専門のカウンセリングサービスを主宰。年間200組以上のカップルのメンタルヘルスをサポートしている。「占いに頼りたい」という気持ちも否定せず、相談者の心に寄り添う温かいカウンセリングに定評がある。
「私、いつになったら子供を授かれるんだろう…」
そう思って、つい子宝占いを検索してしまったあなたへ。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
この記事の結論からお伝えすると、占いの結果に一喜一憂する必要は全くありません。
ここでは、占いを「未来の答え」ではなく「今の不安な心を軽くするお守り」に変え、公的なサポートも活用しながら、穏やかな気持ちで妊活と向き合うための具体的な方法を、不妊カウンセラーである私が徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、占いの結果に振り回されず、ご自身のペースを取り戻すヒントがきっと見つかるはずです。
なぜ、私たちは妊活中に占いを頼ってしまうのか？
私のカウンセリングで最もよくお聞きするのが、「占いに頼ってしまう私って、弱いんでしょうか？」というご質問です。でも、決してそんなことはありません。
妊活中は、医学的な情報をいくら集めても、「私たち夫婦は、いつ、授かることができるのか」という、たった一つの答えが見つからないことが多いです。このコントロールできない未来への「不安」が、具体的な答えをくれるように見える「子宝占い」へと心を向けさせるのです。これは、先の見えないトンネルの中で一条の光を探すような、ごく自然な心理です。
ですから、まずご自身を責めないでください。その気持ちを、ご自身で認めてあげることが、心を軽くするための第一歩になります。
占いを「お守り」に変える、専門家が教える3つのルール
子宝占いは、未来を確定させる診断書ではありません。子宝占いを、ご自身の心を追い詰めるものではなく、前向きなエネルギーに変えるための「お守り」として活用してみませんか？
ここでは、そのための3つのルールをご紹介します。
- 良いことだけを信じる「ポジティブ選択」のルール
占いの結果には、様々なことが書かれているでしょう。その中から、ご自身が「嬉しいな」「前向きになれるな」と感じる言葉だけを選んで信じるようにします。もし不安を煽るような言葉があれば、それは「今日の星占い、外れちゃったな」くらいの気持ちで、意識的に受け流しましょう。 - 「いつ？」ではなく「何をすべきか？」のヒントを探すルール
「〇月に授かる」といった時期の結果に一喜一憂するのではなく、「体を温めると運気が上がる」「リラックスが鍵」といった、今の生活に取り入れられる行動のヒントを探してみましょう。占いをきっかけに、健康的な生活を始めることができれば、それだけで大きな価値があります。 - パートナーとの対話の「きっかけ」にするルール
「占いでこんなことが書いてあったんだけど、どう思う？」と、パートナーと話すきっかけにしてみるのも良い方法です。占いの結果そのものよりも、妊活の「不安」や将来の家族像について、お互いの気持ちを共有する時間を持つことこそが、何よりも大切です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 占いの結果は、誰にも見せる必要のない「あなただけのノート」に書き留めておくことをお勧めします。
なぜなら、SNSなどで結果を共有すると、他人の意見や他の占い結果に触れてしまい、心が揺れやすくなるからです。ご自身が心地良いと感じる言葉だけを大切にしまい、時々見返して勇気をもらう。そのくらいの距離感が、占いを「お守り」にする秘訣です。
要注意！占いジプシーが招く3つの落とし穴
「この占いがダメなら、次の占いへ…」
良い結果を求めて次々と占いを渡り歩いてしまう状態を、私たちは「占いジプシー」と呼ぶことがあります。これは、子宝占いに依存することで、かえって「不安」が「ストレス」へと増幅されてしまう危険なサインです。ご自身が当てはまっていないか、少しだけ確認してみましょう。
- 時間の浪費
占いを探し、結果を読み解く時間に、毎日何時間も費やしていませんか？その時間は、本来、ご自身の心と体を休めたり、パートナーと穏やかに過ごしたりするために使えるはずの大切な時間です。 - お金の消耗
無料占いから始まり、いつの間にか高額な有料鑑定や関連グッズに手を出していませんか？先の見えない不安につけ込むサービスも残念ながら存在します。冷静な判断が難しくなっているかもしれません。 - 心の疲弊
占いごとに違うことを言われ、何が本当か分からなくなり、余計に混乱して疲れていませんか？希望を求めて始めたはずが、いつの間にか心をすり減らしている。これが最も避けたいパターンです。
【セルフチェックリスト】
- [ ] 1日に2つ以上の占いサイトを見てしまう
- [ ] 占いの結果が悪いと、一日中気分が落ち込む
- [ ] 占いのために、予定していた以上のお金を使ってしまったことがある
- [ ] パートナーに隠れて占いをしている
もし一つでも当てはまるなら、少しだけ占いから距離を置く勇気も必要かもしれません。
もう一人で抱えないで。国が設置した「無料相談窓口」という選択肢
占いが求める「未来の答え」とは別に、今の「不安と向き合う力」を育むための、より確実で信頼できる選択肢があります。
それが、「厚生労働省」が全国に設置している「不妊専門相談センター」です。
この不妊専門相談センターは、妊活中のあらゆる悩みに対して、専門家が無料で相談に応じてくれる公的な窓口です。医師や助産師、そして私のような臨床心理士が、あなたの状況に合わせて、医学的な質問から精神的な悩みまで、親身に話を聞いてくれます。
「相談するのはハードルが高い…」と感じるかもしれませんが、匿名での電話相談も可能です。「子宝占い」と「不妊専門相談センター」は、どちらもあなたの助けになり得ますが、その役割は全く異なります。
「子宝占い」と「不妊専門相談センター」の役割の違い
| 比較項目 | 子宝占い | 不妊専門相談センター |
|---|---|---|
| 得られるもの | 未来への期待、一時的な気休め | 専門的な情報、具体的な対処法、心の整理 |
| 信頼性 | 根拠は不明確 | 国が設置した公的機関、専門家が対応 |
| 費用 | 無料〜高額まで様々 | 原則無料 |
| 持続性 | 一時的、依存のリスクあり | 不安と向き合う力が身につき、持続的な心の安定に繋がる |
占いで一時的に心を満たすことも一つの方法ですが、もし本当に心が辛いと感じたら、ぜひ専門家を頼るという選択肢を思い出してください。
よくあるご質問（FAQ）
Q. 占いで「子供は授かれない」と言われたらどうすればいい？
A. 深呼吸をして、その言葉を心から追い出してください。占いはあなたの未来を決定するものでは決してありません。産婦人科医でも断定できないことを、占いが断言できるはずがないのです。不安な気持ちを煽るだけの無責任な言葉に、あなたの心が傷つけられる必要は全くありません。
Q. パートナーが占いを信じてくれません。
A. パートナーに占いを信じさせる必要はありません。大切なのは、「私が占いに頼りたくなるくらい、今不安な気持ちなんだ」という、ご自身の感情を正直に伝えることです。占いの是非ではなく、お二人の感情の共有に焦点を当ててみてください。
Q. カウンセリングではどんなことを話すのですか？
A. 何から話していいか分からなくても大丈夫です。「ただ、もやもやするんです」というところからで構いません。カウンセラーは、あなたの言葉を丁寧に紐解きながら、不安の正体を一緒に探したり、気持ちの整理を手伝ったりします。誰にも言えなかった愚痴や悩みも、安心して話せる場所です。
まとめ：あなたの心を、あなた自身が守るために
この記事では、妊活中の不安な気持ちと、子宝占いとの上手な付き合い方についてお話ししてきました。
- 占いに頼りたくなるのは、自然な気持ち。
- 占いは「お守り」として、ポジティブな側面だけを活用する。
- 占いに依存しすぎると、時間・お金・心を消耗するリスクがある。
- 本当に辛い時は、一人で抱えず「不妊専門相談センター」など専門家を頼る。
最後に、知っておいてほしいデータがあります。
日本では、不妊を心配したことがある夫婦（またはカップル）は**約2.9組に1組**、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある（または現在受けている）夫婦は**約5.5組に1組**です。
出典: 第16回出生動向基本調査（2021年） – 国立社会保障・人口問題研究所
あなたは、決して一人ではありません。多くの仲間が、同じように悩み、乗り越えようとしています。焦らず、ご自身のペースを大切にしてください。
この記事が、あなたの心を少しでも軽くする「お守り」になれたなら、これほど嬉しいことはありません。
[CTA]
まずは、お住まいの地域の「不妊専門相談センター」を検索してみませんか？
話を聞いてもらうだけで、心が軽くなることもあります。
[参考文献リスト]
- 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」
- 厚生労働省「不妊専門相談センターのご案内」
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