今の会社に残るべきか、それともヘッドハンターの誘いに乗るべきか…。そんな人生の岐路で、「知らない駅のホームで、どの電車に乗るべきか迷っている」という夢を見たあなたは、これが何か特別なメッセージではないかと感じているはずです。そのリアルな感覚に、ご自身の心境が重なって見えたことでしょう。
しかし、安心してください。その夢が示す本当のサインは「転職しろ/するな」という単純な答えではありません。それは、あなたの未来を決める「心のコンパス」と向き合う時が来た、という知らせなのです。
この記事では、単なる夢の解釈に留まらず、キャリア心理学の観点から、その夢をきっかけに、あなたが自信を持って次の一歩を踏み出すための具体的な思考ツールをご紹介します。読み終える頃には、夢に答えを求めるのではなく、夢を力に変える方法が身についているはずです。
[著者情報]
この記事を書いた人:田中 健二(たなか けんじ)
キャリア心理カウンセラー / 夢分析コーチ
ユング心理学をベースとした夢分析と、キャリアの転換期における意思決定支援を専門とする。大手人材会社で1,000人以上のキャリアカウンセリングを経験後、独立。著書に『夢が教える、あなたの本当の天職』。
まずはご安心を。その夢は「迷い」ではなく「成長」のサインです
転職のオファーと今の安定した仕事、その間で心が揺れる中で見た「知らない駅で迷う夢」。キャリアカウンセラーとして多くのご相談に乗ってきましたが、このような人生の転換期に、駅の夢を見る方は非常に多くいらっしゃいます。
一般的な夢占いにおいて、駅が人生の転換期を象徴することはよく知られています。しかし、一歩踏み込んでユング心理学の観点から見ると、その夢はさらにポジティブなメッセージを伝えています。
- 「知らない駅」は、あなたがまだ見ぬ「新しい可能性」や「未知の自分」の象徴です。
- そこで「迷う」のは、あなたが優柔不断だからではありません。むしろ、今の安定した自分から、次のステージへと進もうとしている、健全で力強い心の葛藤の表れなのです。
ですから、その夢はあなたの不安を映していると同時に、あなたの心が大きく成長しようとしている、何よりの証拠と言えるのです。
なぜ、私たちは夢に「答え」を求めてしまうのか?
「この夢は、転職しろってことですか?」
これもまた、私がカウンセリングの現場で本当によくお受けする質問です。この質問の裏には、「自分の決断に自信がないから、誰かに背中を押してほしい、あるいは止めてほしい」という、決断の責任を委ねたいという深い不安が隠れています。
私たちは、大きな決断を迫られたとき、無意識に「絶対的な正解」を探してしまいます。夢や占いに答えを求めるのは、その一つの表れです。
しかし、夢の本当の役割は、答えを示すことではありません。夢占いが表層的な解釈だとすれば、ユング心理学では夢を深層心理からのメッセージ、つまり「あなたへの問いかけ」として捉えます。
あなたの夢は、「どちらの電車が正解か」を教えているのではありません。そうではなく、「そもそも、あなたはどこへ行きたいのですか?」「あなたにとって本当に大切なものは何ですか?」と、あなた自身に問いかけているのです。
あなたの「心のコンパス」を見つける、2つの質問ワークショップ
ここからは、夢の解釈から、現実の行動へと橋を架けていきましょう。後悔のない決断を下すためには、外部の答えではなく、あなた自身の価値観という「心のコンパス」を明確にすることが最も有効な手段です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「正解探し」を手放し、「自分にとっての納得解」を見つけることに集中してください。
なぜなら、キャリアの決断で最も避けたいのは、後になって「周りの意見や占いに流されて、自分の気持ちを無視してしまった」と後悔することだからです。これからご紹介するワークは、あなたの心の声を聴くための、シンプルで強力なツールになります。
さあ、ペンとノートを用意してください。そして、以下の2つの質問に、時間をかけてじっくりと答えてみましょう。

この2つの問いへの答えを書き出すことで、あなたがキャリアにおいて何を最も大切にしているのか、その輪郭がはっきりと見えてくるはずです。それが、あなたの決断を支える、揺るぎないコンパスとなります。
それでも決断が怖いあなたへ。キャリア心理学からの最後のアドバイス
ワークを終えても、まだ決断への恐怖が残っているかもしれません。それは当然の感情です。
キャリアの岐路で多くの情報や選択肢を前にして動けなくなってしまう状態を、心理学では「アナリシス・パラリシス(分析麻痺)」と呼びます。完璧な正解を求めるあまり、かえって決断できなくなってしまうのです。
ここで、1,000人以上のキャリアを見てきた私から、最後にお伝えしたいことがあります。それは、「どちらの道を選んでも、100%の正解はない」ということです。そして同時に、「どちらの道も、あなたの行動次第で正解にすることができる」ということです。
キャリアの本質は、正しい電車に乗ることではありません。乗った電車から見える景色を楽しみ、時に乗り換えながら、自分だけの旅路を創り上げていくことです。
まとめ
駅で迷う夢は、不吉な予兆ではなく、あなたの新しい旅の始まりを告げる祝砲です。
それは「答え」ではなく、あなた自身と深く向き合うための「招待状」でした。
もう、あなたは夢に答えを求める必要はありません。なぜなら、答えは夢の中にはなく、あなたの心の中に、すでにあるのですから。
さあ、ペンとノートを用意して、あなたの「心のコンパス」を見つけるための2つの質問に、じっくりと答えてみませんか?
[参考文献リスト]
- リクルートワークス研究所 (https://www.works-i.com/)
- DIAMOND online (https://diamond.jp/)


コメント