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この記事を書いた専門家
佐藤 恵（さとう めぐみ） / 公認心理師・臨床心理士
認知行動療法（CBT）を専門とし、特に若い女性の行動依存（買い物、占い、SNSなど）に関するカウンセリングで500件以上の実績を持つ。依存症回復支援NPO法人での経験や、大手女性誌での「心のセルフケア」に関する連載を通じ、一人でも多くの女性が自分らしい生き方を取り戻すサポートをしている。
メッセージ: 行動依存の専門家が、あなたの悩みに寄り添います。一人で抱え込まず、一緒に解決の糸口を探しましょう。
「もうやめたいのに、不安になるとつい電話してしまう…」そんな自分を責めていませんか？その苦しみ、そして「変わりたい」と願うその気持ち、とてもよく分かります。
この記事は、あなたの意志の弱さを問いません。電話占いへの依存は、特別なことではなく、心の仕組みからくる自然な反応です。
ここでは、心理学の知見に基づき、自分を責めずに、今日から始められる具体的な5つのステップをご紹介します。この記事を読み終える頃には、占いに頼らなくても大丈夫、と思える自信がきっと湧いてきます。
まずは自分を責めないで。「占い依存」は特別なことではありません
カウンセリングの場で、私が最も頻繁に受ける質問の一つが、「こんなことで相談していいのでしょうか？」というものです。その言葉の裏には、「依存している自分を否定されたくない」という強い不安が隠れています。
もしあなたも同じように感じているなら、まずお伝えしたいのは、「占いに頼りたくなる気持ちは、誰にでも起こりうることですよ」ということです。
例えば、雑誌の星占いで「今日のラッキーアイテムは〇〇」と書かれていると、つい気になってしまう経験はありませんか？これは心理学で「バーナム効果」と呼ばれる現象の一例で、誰にでも当てはまるような曖昧な言葉を「まさに自分のことだ」と捉えてしまう心の働きです。悩んでいる時ほど、人はこうした言葉に救いを求めやすくなります。
ですから、電話占いに惹きつけられてしまうのは、あなたが騙されやすいからでも、意志が弱いからでもありません。不安な心に寄り添ってくれるように感じる言葉に、自然と心が反応しているだけなのです。回復への第一歩は、そんなご自身を認めて、責めるのをやめることから始まります。
なぜやめられない？占い依存の裏にある「心の仕組み」と本当のリスク
「意志の問題ではないのなら、なぜ自分の力でやめるのがこんなにも難しいの？」と感じるかもしれません。占い依存症という問題は、実は「不安」をきっかけとした行動のサイクルによって維持されています。
多くの場合、強い不安やストレスを感じた時に「答えが欲しい」と電話占いに頼ります。そして占い師の言葉で一時的に安心すると、脳はその「不安→占いで解消」というパターンを学習します。次に同じような不安が訪れると、脳は前回うまくいった方法、つまり「占い」を再び求めるようになります。このサイクルが繰り返されることで、占いがなければ不安を解消できない状態、いわゆる「占い依存症」に陥ってしまうのです。
そして、占い依存症が引き起こす最も深刻な結果の一つが、高額請求という経済的な問題です。独立行政法人国民生活センターによれば、占いサイトや電話占いに関する相談は年々増加傾向にあり、中には数百万円もの請求に至ったケースも報告されています。最初は軽い気持ちでも、依存のサイクルにはまり込むことで、気づかぬうちに深刻な金銭的ダメージを負ってしまうリスクがあるのです。
今日から始める「占い卒業」5つの具体的なステップ
占い依存症という問題に対して、認知行動療法という心理学のアプローチは、有効な解決策の一つとして知られています。認知行動療法は、自分の行動パターンを客観的に理解し、少しずつ変えていくための実践的な手法です。
ここでは、認知行動療法の考え方に基づいた、誰でも今日から始められる5つの具体的なステップをご紹介します。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】： 完璧を目指さないでください。「1週間のうち1日だけ占いを我慢する」など、達成可能な小さな目標から始めることが成功の鍵です。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、「明日から絶対に占いはしない！」と高い目標を掲げた結果、一度の失敗で「やっぱり自分はダメだ」と挫折してしまうケースが非常に多いからです。小さな成功体験を積み重ねることが、自信を取り戻すための最も確実な道です。この知見が、あなたの回復の助けになれば幸いです。
ステップ1: 記録する
まずは1週間、現状を把握することから始めましょう。占いに使った「金額」「時間」、そして「占う直前の気持ち」を正直にノートやスマートフォンのメモに書き出してみてください。これは自分を責めるためではなく、客観的なデータを集めるための作業です。
ステップ2: きっかけを知る
1週間記録を続けたら、メモを見返してみましょう。「仕事でミスした夜」「彼からの返信がない時」など、あなたが占いに頼りたくなる特定の状況や感情のパターン（きっかけ）が見えてくるはずです。
ステップ3: 行動を置き換え-る
きっかけとなる感情が湧いてきた時に、占いアプリを開く代わりに実行する「5分でできることリスト」を事前に作っておきましょう。例えば、「好きな音楽を1曲聴く」「温かいハーブティーを淹れる」「ベランダで深呼吸する」など、自分が少しでも心地よくなれることなら何でも構いません。
ステップ4: 物理的に距離を置く
スマートフォンのホーム画面から占いアプリを削除したり、フォルダの奥深くに移動させたりするだけでも、衝動的に利用するまでの時間を稼ぐことができます。その数秒が、冷静さを取り戻すきっかけになります。
ステップ5: 小さなゴールを祝う
「今日は占わずに眠れた」「占いたい気持ちをハーブティーで乗り越えられた」など、どんなに小さな成功でも、自分で自分を褒めてあげましょう。カレンダーにシールを貼るなど、達成を可視化するのも効果的です。
「占い卒業」5つのステップ実践チェックリスト
| ステップ | 具体的なやり方 | コツ・ポイント | 達成チェック |
|---|---|---|---|
| 1. 記録する | 使った金額、時間、直前の気持ちをメモする | 良い悪いを判断せず、淡々と事実だけを書く | ☐ |
| 2. きっかけを知る | メモを見返し、共通の状況や感情を探す | 「どんな時に？」と自分に問いかける | ☐ |
| 3. 行動を置き換える | 占いの代わりになる行動リストを作る | 5分以内で、すぐに実行できることを3つ以上用意しておく | ☐ |
| 4. 物理的に距離を置く | アプリを削除または移動させる | 電話番号をアドレス帳から消すのも有効 | ☐ |
| 5. 小さなゴールを祝う | できたことを自分で褒める | 「1回我慢できた」自分を認めてあげる | ☐ |
よくある質問と不安にお答えします
Q. どうしても占いたくなったらどうすればいいですか？
A. まず、そうした気持ちが湧いてくること自体を、決して責めないでください。それは自然な反応です。もし衝動が抑えきれないと感じたら、「10分だけ待ってみる」というルールを試してみてください。タイマーをセットして、その10分間はステップ3で作った「行動の置き換えリスト」を試します。多くの場合、衝動のピークは数分で過ぎ去ります。
Q. 占いを完全に断つべきですか？「楽しむ」範囲ならOK？
A. 最終的な目標は人それぞれです。まずは依存的な利用から抜け出すことが最優先ですが、将来的には「半年に一度、運勢を見る」といった健全な付き合い方ができるようになる方もいます。今は「完全に断つ」と意気込むよりも、利用する回数や金額を少しずつ減らしていくことに集中しましょう。
Q. 家族や友人に相談できません。どうすればいいですか？
A. 依存の問題は、身近な人にほど打ち明けにくいものです。その場合、無理に話す必要はありません。後述するような、匿名で相談できる公的な窓口や、専門のカウンセラーを頼ることを検討してください。秘密は厳守されますし、あなたの状況を客観的に理解し、専門的な視点からサポートしてくれます。
あなたは、もう一人ではありません
この記事をここまで読み進めてくださったこと、それが「変わりたい」と強く願うあなたの心の表れです。
占いへの依存はあなたのせいではないこと、そして回復の鍵は意志の力ではなく「記録」と「置き換え」という具体的なステップであることを、どうか忘れないでください。
この記事で紹介した5つのステップは、占いに支配されていた毎日から、あなた自身のペースを取り戻すための第一歩です。この記事をここまで読んだあなたは、すでに行動を起こし始めています。その勇気ある一歩を、私は心から応援しています。
もし、一人で抱えきれないほどの不安を感じたり、高額な請求で困っていたりする場合には、決して一人で悩まないでください。あなたの助けとなる専門の相談窓口があります。
[CTA] 公的な相談窓口
- 消費生活センター（消費者ホットライン）：電話番号
188- 占いサイトでの高額請求など、金銭的なトラブルに関する相談ができます。
- 精神保健福祉センター
- 各都道府県・政令指定都市に設置されており、こころの健康や依存症に関する相談を無料・匿名で行うことができます。「〇〇県 精神保健福祉センター」で検索してみてください。
[参考文献リスト]
- 独立行政法人国民生活センター. (2022). 占いサイト、鑑定アプリのトラブルが増加しています！ https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20221027_1.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. 依存症. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-0依存症
[監修者情報]
この記事の監修者
〇〇 医師 / 〇〇メンタルクリニック 院長
精神保健指定医。〇〇大学医学部卒業後、同大学病院にて精神科医として勤務。うつ病や不安障害の治療とともに、行動依存に関する専門外来を担当。患者一人ひとりの心に寄り添う丁寧な診療に定評がある。
クリニック公式サイト: https://example-clinic.com
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